霧の狐道228

ghanayama
でも、お揚げ婆さんは、昨日のように俺に近付いて来ない。

“ おかしいな・・・・。
 何か、昨日と様子が違うのは訳があるんだ・・・。”

やはり、お揚げ婆さんは壁に張り付いたままで話をしている。

「 今日こそ酷い眼に遭わせてやるからのっ!」

そう言っている声の調子も、カラ元気っぽい。
 それで、俺はお揚げ婆さんにちょっと訊いてみた。

「 今日は、どうして近付いて来ないんだよ?」
「 いや、ここからで充分なんじゃ・・・。」

お揚げ婆さんの視線を辿ると、どうも俺のお守りを見ているように見える。
 俺は試しに、お守りをお揚げ婆さんに向けて前に出し、近付けて見た。

「 今日、これ貰ったんだよ!」

突き付けられたお守りに、お揚げ婆さんは“ウッ!”っと顔を引いた。

“ あらっ、これって効き目あるみたい・・・。”

お揚げ婆さんは、お守りをチラチラ見ながら言った。

「 ああ、いいもの貰ったんだね。
 分かったから、それはそっちに置いといた方がいいよ。」
「 婆さん、ひょっとしたら、これが怖いんじゃないのか?」



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