霧の狐道118

ghanayama
 俺は爺さんに喚いた。

「 イデデデデデデ!!
 病院、病院!
 早く、早く!!
 早く行かないと死んでしまう、早く早くっ!!」
「 ほんにウルサイガキじゃ。
 そこで死んどれ、ボケ!」
「 うううう、死ぬぅ・・・・。」
「 ああ、分かった、分かった。」
「 病院・・・・!」
「 ウルサイ、黙れ!
 連れて行ってやるから黙れ、アホッ!!」
「 イデデデデデデ!!」
「 黙れちゅうとんじゃ!」
「 ・・・・・・・・。」

俺が黙ったので、爺さんは婆さんに言った。

「 んじゃ、このバカを乗せるがのォ~。」
「 あいよ、爺さん!」

 俺は爺婆に抱えられて、軽トラックの荷台に引き摺りあげられた。
そして、ダンボールの上に転がされた。

「 あらよっと!!」
「 イデデデデデデ!!」
「 そこのダンボールに転がっておれ。
 この前の行き倒れも、そこに転がっておったのじゃ!」

俺はビクッとして言った。

「 えっ、ここに死体が・・・。
 あの~、ちょっと、気持ち悪い・・け・・ど・・・・。」
「 黙って、そこに居れ、バカチン!」
「 うう・・・、俺は死体じゃない。」

 俺は足を投げ出し、トラックの運転席の方に背をもたれ掛けて、ダンボールの上に座った。
体を動かすたびに、足と肩の痛みが頭に響いて来る。




☆HOMEページに戻る。
  HOMEページ