霧の狐道85

ghanayama
山下先生の声が正面奥の部屋から聞こえた。

「 おう、神谷、こっちに来い。」

 俺は自転車を押して、奥の部屋に入り、部屋の中で自転車のスタンドを立てた。
そして、自転車の前カゴに一つ入っている原爆頭の投げたトウモロコシを取り出し、先生に渡した。

「 先生、お土産です。」
「 お、気が利くなぁ~。」
「 いやぁ~、それ程でも・・・・。」
「 ・・・って、言っている場合か!
 こら~~~っ!
 何で、自転車で部屋に上がって来るんだ!」
「 先生、もう、ちょっと、小さい声で怒って下さい!」
「 にゃにぃ~~!」

“ カナトコ頭と同じこと言ってる・・・。”

俺は、妙に可笑しくなって声を殺して笑った。

「 うっ、くっ、くっ、くっ、・・・・・。」
「 何を笑ってるんだ。
 自転車は外に置いて来い。」
「 それが、ちょっと、支障があって・・・・。」
「 じゃ、せめて台所に置け。」

俺は部屋の中でスタンドを上げ、自転車に跨った。

「 バカ、押して行け。
 ホントに、もう・・・。」
「 はぁ~い。」



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