日々の恐怖 2月8日 事故物件
日々の恐怖 2月8日 事故物件
マンションを探していた時に、6年前に首吊りがあった物件がありました。
住人の男性が家族が留守中にクローゼットで首をつって亡くなって、夕方戻った家族に発見されたそうです。
その後も、ご家族が住んでいましたが、奥様が田舎に引っ込むのを機に手放すことになったそうです。
過去にそういう痛ましい事があったということは、告知義務があるから、不動産屋さんは必ず言わなくてはいけないそうです。
もちろん、価格はかなり安くなっていましたが、なかなか買い手も借り手もつかず、空き部屋のまま長いそうで、勧められるまま不動産屋さんと一緒に見に行きました。
心霊話しなどを思い浮かべてビビっていたんですが、いざ入ったら意外なくらい明るくて気持ちのいい部屋で、一気に気に入ってしまいました。
部屋の中は綺麗に改装されていて、事故のあったクローゼットは撤去され、その分部屋が広くなっていますと説明されました。
手が出る値段だったのも大きかったと思いますが、立地、部屋の向きや階層など、まさに思い描いた部屋だったんです。
不動産屋さんは物件の一つとして話のタネ程度で見せたつもりだったようで、私があまりに気に入った様に少し引き気味だった気もします。
夫はもともと心霊現象を信じていないので、後日にその物件を見せたところ大変気に入りました。
ただ、やはりそういう事故があった部屋だというのは私自身はどこかで引っかかっていて、事情ありのためか中古販売でも賃貸でもどちらでもOKという条件で、持ち主からそこの不動産屋さんに委託された物件だったので、不動産屋さんの提案で、まずは賃貸契約を結び(事故物件価格で家賃安め)、その後購入する場合は敷礼を値引きに当てると言う約束になりました。
いくら気に入ったものでも勢いで買ってしまうより、お試し期間付きの方が安心だし、買うより借りる方が心理的なハードルは低いので、話はスムーズに進んでドタバタと引越しをしました。
夫婦ふたりで3LDKだったので、事故のあった部屋は夫が仕事の資料を置いたり、来客が使う予備部屋にしました。
夫婦でご近所に挨拶周りをして、“え・・・あの部屋の新しい住人!?”、“実はあそこの部屋って・・・”、みたいな怪しげな展開もなく、ごく普通に新生活がスタートしました。
私は在宅の仕事で一日ほとんで家で過ごすのですが、引っ越して半月ほどして気がついたのが、夫の仕事部屋のドアが半開きになってることがあるんです。
仕事部屋は玄関のすぐ横だったので、朝に玄関で見送る時はそのドアのすぐ前に立ってるので、開いてれば気がついて閉めるはずなんです。
中古だし、空家が長かったから湿気で立て付けが悪いのかな、とも思いましたが、やっぱり事故のあった部屋だと思うとちょっと気になるんです。
ドアが空いていた時に中をのぞきましたが特に何かあったわけではなく、問題のクローゼットがあった場所にはディスプレイの貰いもののダビデ像が、人型の帽子やマフラー掛けとして立っています。
あとは夫のペットの蛇とイグアナの水槽と、本棚とPCデスクだけの部屋なんで何かが隠れてる気配とかはありません。
その後もドアが半開きのことがありましたが気にしないことにしました。
その頃から変な夢を見始めて、仕事部屋のダビデ像がうちの夫への愚痴を言い続けてるんです。
毎回同じ夢で、服の趣味が悪い、部屋の趣味が悪い、ペットが気味悪い等など言いたい放題言われ、挙げ句の果てには頭頂部が禿げてるから、夫なんか捨てて自分に乗り換えろと無茶言われて、毎度そのへんで私の堪忍袋の緒が切れて、なんかサトウキビ(夢の中なんで)を引っこ抜いて束ねたものでダビデをぶっ叩いて殴り倒して目が覚めます。
起きると汗びっしょりだったり息が上がっていてリアルすぎる夢で、眠るたびに疲れてました。
まあ夢は夢なんで、どうしようもないんで水飲んで寝直してました。
あんまりしょっちゅう夢に出てくるんでダビ男と呼び名をつけて、夫にダビ男がまた出たと朝食の席で笑い事にしていました。
それから少し経って、夫が交通事故に会いました。
怪我自体は大したことはなかったのが不幸中の幸いですが、病院のベッドで、
「 やっぱり事故物件のせいかな・・・。」
といつになく気弱な発言です。
それに、仕事部屋で寝ると、時々変な夢を見ると言い出しました。
私のダビ男の夢の影響なのか、寝てるとダビ男が胸の上に乗って見下ろしているので、息苦しくて起きて部屋を変わるそうです。
なんとなくダビ男に腹を立てながら帰宅して、夫は入院なので一人で眠ったら、ダビ男が夢に出てきました。
顔見たらめっちゃ腹が立って、愚痴なんか聞かずにサトウキビで殴って殴って、逃げるのを追い回して殴って、なぜか、
「 どっかヨソに行きなさいよ!」
と何度も怒鳴りながら殴っているうちに、ダビ男の腕がぽきんと折れ、見る間にガラガラと崩れたのを崖から投げ捨てて、あたりを箒とちりとりで綺麗にして目が覚めました。
それで、流石に怖いので、夜中に仕事部屋を覗く気にはなれなくて、そのまま寝なおしました。
翌日、夫の姉がお見舞いがてら寄ってくれて、出雲の神社の砂が入ってるお守り袋をお土産にくれました。
そこの砂は汚れを払う効果があるから、
「 事故物件って聞いてたから、これをあげようと思っていたけど遅くなった。」
と言われました。
気になる場所においておけばいいと言われたので、紐を長くしてダビ男の首からかけておこうと、部屋に行ったらダビ男の腕がポキンと取れていました。
ハンガー代わりにいろいろ掛けていたから重さに耐え兼ねたにしても、タイミング良すぎにびびりつつ、紐を長くしたお守りを首からぶら下げて部屋から出ました。
その後、夫はスムーズに退院して、腕が折れたダビ男は粗大ゴミに出しました。
ダビ男を撤去したあとは変な夢も見なくなりました。
やっぱり気のせいだったのね、ということで、購入する方向で話を進めていたところ、マンション隣室でお子さんが不安定になってるとかで、親しくなった隣室の奥さんから、
「 神主さんがお祓いに来るので、びっくりしないでね。」
と言われました。
事故物件を借りる時にお祓いを勧められたんですが、私も夫もそういう知識がないので、お祓いをしないまま入居、それでも購入するならしないといけないかもなぁ、と考えて興味津々で待ち構えていました。
神主さん(神社の格好そのまま)が二人来て、隣の部屋に入って行って、特には何も聞こえませんでした。
結局その少しあとに、夫の仕事の関係で急な引越しをすることになり、購入しなかったおかげでスムーズに異動できました。
私たちが借りていた物件は、我が家によく遊びに来ていた知人が引き次ぐ形で賃貸入居して、その後購入しました。
知人の話では、お隣のお子さんは今も引きこもってしまっているそうで、隣の奥さんが言うには、
「 おじさんの幽霊が出る。」
と、子供が怯えているそうです。
隣の奥さんは、私たちや知人夫婦がこの部屋で過去に自殺があったのを知っているか確かめたがってるようだった、と知人の話です。
知人一家は全く不可思議なこともなく、マンションで楽しく暮らしています。
思い返せば特になんということもないのですが、どうしてあんなにあの物件が好きだったのかも含め、不思議な思い出です。
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