日々の恐怖 9月16日 ラーメン屋
日々の恐怖 9月16日 ラーメン屋
うちの近所に夫婦でやってるラーメン屋があった。
うちは一家全員麺好きで、よくそのラーメン屋に行ってた。
ただ、ラーメン作ってるのは、おばちゃん。
おじちゃんは、ちょっとグータラっぽくて配達だけはしてた。
社会人になっても、そのラーメン屋さんにはお世話になってた。
ある日、おじちゃんが入院したと聞いたので会社帰りにラーメン屋さんに寄って、おばちゃんと話したら、
「 あぁ、うちの亭主?
心配するような病気じゃないのに、おおげさに入院したのよ。
ガハハ!」
と笑ってたから少し安心した。
それから2ヶ月くらい経った頃だった。
朝、出勤のためにバス停に向かっていたら、おじちゃんが愛車のスーパーカブの荷台におかもちを乗せて配達の準備してた。
おじちゃん、退院したんだ、と思って声をかけた。
私「 おじちゃん、退院したと?よかったねぇ。」
お「 おぉ!おはよう!退院したばい。病気の方が逃げて行ったばい!」
私「 あ、バスの来るけん、行くね。今日帰り寄るけん!」
お「 おぅ!いってらっしゃい!!」
と、私のお尻をポンと軽く叩いた。
その日の帰り、ラーメン屋さんに寄ろうと思ったら閉まってた。
家に帰ったら、母と姉が喪服を着ていた。
これから通夜に行くと言う。
私の喪服も用意してるから、急いで着替えるように言われた。
誰が亡くなったのか聞いたら、ラーメン屋のおじちゃんだった。
私「 えぇぇ!?今朝、話したよ?」
と今朝の事を話したら、
母「 あんた、また・・・?
いい?
絶対その話おばちゃんにしたらダメよ。
おじちゃん、末期ガンで、ずっと入院してたんだから・・・。」
もちろん、おばちゃんには話をしなかった。
余命いくばくもない事をおじちゃんやまわりの人に気づかれない様、空元気を出してたから、話したら、きっと辛いだろうなと思ったから。
おじちゃん、家に帰りたかったんだろうね。
切なくて、通夜では大泣きした。
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