霧の狐道243

ghanayama
 俺たちは、そっとナースステーションの前を通過しようとした。
そのとき、突然、声が響いた。

「 コラッ!
 あんた達、何してるの!」

当直の若い看護婦さんが、ナースステーションの扉から首を出した。
龍平がそれを見て言った。

「 しまった、見つかった。」
「 あ、龍平、こんな夜中に何をしてるの?
 もう、患者を連れて!」
「 あ、中田さん、あの、こいつがオシッコに行きたいって言うから・・・。」
「 トイレは、こっちじゃなくって、向こう。」

看護婦さんは、エレベーターと反対方向を指差した。
龍平は、なお抵抗して言った。

「 いや、5階のトイレに行きたいって、こいつが言うから・・・。」
「 何、訳の分からないこと言ってるの。
 龍平は、早く自分の部屋に帰りなさい。
 私がこの子をトイレに連れて行くから!」
「 でも・・・。」
「 院長に言い付けるよ!」
「 あ、それは止めて・・。」
「 じゃ、早く行きなさい。」
「 あ~、しょうがないな。
 じゃ、貴志、後は任せとけ!」
「 何のことよ。」
「 いや、こっちの話や。」




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